2000 |
●10月7日(土) 採卵 |
まずメスの体をよく拭いてから採卵台に乗せ、おなかを採卵刀でさきす。 そして、やさしく卵を手でかき出して洗面器に流しいれます。このとき、鳥の羽でできた刷毛を使います。それから、オスの尾尻の部分をよく拭いて精子を搾り出します。最初に出るかどうかちょっと試します。受精率を高めるため、1匹のメスの卵に対し、2匹のオスの精子をかけます。このときはまだ受精していません。洗面器の中の卵と精子をよくかき混ぜてから、流水につけます。受精はこのときです。水につくと同時に精子が動き出して受精するのです。この日は、7匹のメスの採卵を行いました。収容した卵の数は19,388粒です。 |
卵
サケの卵の色は、食べ物の影響を受けて、赤っぽかったり、オレンジ色であったりします。今年は、卵の小さいサケが目立つようです。卵径は、だいたい、小さいので4,5ミリ、普通の大きさで6,7ミリです。受精後の卵は、しばらくすると硬くなり、ゴムまりのようにはねます。色もほのかなピンク色に変わります。そのとき、精子が入り込んだ跡、卵門が肉眼で確認できます。白くぷつんとした点がそれです。また、死んでしまった卵は、白くにごってしまいます。
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●11月11日(土) 発眼 |
10月7日に採卵した卵が発眼していました。黒く見えるのが赤ちゃんの目です。もう孵化しているものが二匹ほどいましたが、孵化が早すぎるものは死んでしまうそうです。孵化槽の中でも孵化する前に死んでしまった卵があります。白くなっているのがそうです。これは、職員の方がこまめに取り除いています。そうしないと、まわりの卵がくっついて一緒に死んでしまうからです。この作業を検卵といいます。
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発眼卵 |
死 卵 |
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●11月25日(土) 誕生 |
サケの赤ちゃんが生まれました。たいていの場合、赤ちゃんは尾のほうから出てきます。そして、栄養の入った袋をおなかにつけています。そのため、えさは食べず、暗い影のところでじっとしています。おなかが重いせいもあるようです。赤ちゃんは、見たところ1.5cmくらいで、最初は白っぽい色をしています。それから10日ぐらいで黒っぽくなります。今は、2cmほどで黒い色をしています。 |
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立体式孵化槽の中の赤ちゃん |
展示水槽中の赤ちゃん |
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●12月8日(金) 成長1 |
赤ちゃんのふくろが半分くらい吸収されました。ふくろの栄養が吸収されていってこれからどんどんふくろが小さくなっていきます。体は、まだ黒いままです。サケの赤ちゃん(仔魚)が暗いところでじっとしているのは、無駄なエネルギーを消費せず、体づくりのために栄養を使うためです。仔魚はこれからだんだん銀色になってきます。そして、おなかの袋をすっかり吸収してしまうと、浮上するようになります。(それまでは水底でじっとしています。)そしてはじめてえさを食べるようになります。楽しみですね。
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