石川さんの河川環境コラム11
河川で見かける看板 ボランティア 石川 清
 河川の工事現場でこんな看板を見かけました(写真1)。魚の方はかろうじてサクラマスの幼魚だとわかります。パーマークもあるし、アブラビレもありますから。では、このカニは何者でしょうか(写真2)。豊平川の幌平橋にいたという赤いカニを絵に描いたものでしょうか。いずれにしても、道内の河川で一般的に見られるカニではなさそうです。環境庁(現在の環境省ですが)が地域性もわきまえず配ったパンフレットの内容とは異なり、道内の河川で一般的に見られるカニはモクズガニです。
 河川で見られる看板について、今回は紹介します。川で一般受けする人気者というと、鳥ではカワセミではないでしょうか(写真3)。問題は絵よりも文章です。この看板の意味がわかりますか。わかる人は河川の素人です。まあ、一般的にはこう書かないと理解してもらえないので、開発局でもあえてこう表現したのでしょう。実は、堤防内とは人家のある方をさします。堤防は河川の増水から人家を守るために人家を取り囲むように作るものです。つまり、川の反対側の堤防は反対側の人家を守るための別の堤防なのです。川を挟んで一対にあるために内側と外側が逆に考えられてしまっています。増水時に水が堤防を越えて田畑、市街地に流れこむことを内水氾濫(ないすいはんらん)といいますが、まさしく堤防の内側に河川水が流出してしまうことなのです。
因みに、川の右岸と左岸は川の下流に向かって、右と左を指しています。でも、これにも例外があります。河川の支流に右股川(みぎまたがわ)、左股川(ひだりまたがわ)という名称があります。琴似発寒川(ことにはっさむがわ)の上流にもあります。これは、上流に向かって、右と左を指しています。

看板ついでに、こんなものは見たことはありませんか(写真4)。
これはキロポストと呼ばれるもので、国が管理する一級河川において、河口または本流との合流部から現在の位置までの距離を示しています。

河川敷でたまに見られる数値付きの柱は量水標(りょうすいひょう)といって、河川の水位を計るものです(写真5)。水位を計ることで河川流量を求める計算に使用します。たいていは標高を示しています。樋門(ひもん)に量水標がついていることもあります。これは樋門を閉めて、提内に(もうどちらかわかりますね)河川水が逆流しないように水門を閉める目安としています。

ときどき、数値が間違っていることもありますので、要注意です。でも、ときどき数字が逆についているものもあります(写真6)。これは例外であって、間違いではありません。この橋脚(きょうきゃく、ピアともいいます)は鉄道橋のもので、上の線路までの距離を示しています。因みに、橋の両側にある橋台(きょうだい)はアバットといいます(写真7)。この量水標は現在の水位は線路まであと何mですということで、鉄道の河川横断を止めるための目安としています。
いろんな看板があって、難しいですね。もう「ヤリキレナイ」(写真8)。

量水標拡大図
写真5アップ
写真6アップ
写真7アップ
写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7
写真8
(2003/08/23)
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