石川さんの河川環境コラム09
美々川のカヌー遊び ボランティア 石川 清
写真1
 自分の祖父が外国航路の機関長をしていてチャップリンと晩餐会で同席した等と聞かされていたので、船には昔から興味がありました。でも泳ぎが不得手だったので船乗りにはなりませんでした。今頃になって調査で船に乗ることも多くなり、結局船からは離れられそうにありません。自分でもカヌーを購入して友人たちとカヌー遊びをすることがあります。
 本州に比較して湿原が多く、蛇行河川のような勾配の緩やかな河川が多い北海道ではカヌー遊びに適した河川が多くあります。苫小牧(とまこまい)の近くの美々川(びびがわ)もその一つでしょう(写真1)。
 美々川の下流にはウトナイ湖があり、その下流は勇払川(ゆうふつがわ)となっています。勇払川は河口部で安平川(あびらがわ)と合流しており、安平川の上流には新聞報道でおなじみの遠浅川(とうあさがわ)があります。
美々川ではこれまでトゲウオとウグイくらいしか見たことがないので釣りの方はあまり期待していませんでした。出発時に川底でスナヤツメが産卵行動をとっていましたが、これも初めて見ることができました。
 美々川の魅力は多くの水生植物にあります。(写真2)夏にはバイカモの花も見ることができます。川の途中にはプールのように水面が開けている場所もあり、子どもが釣りをしてみました。いつの間にか多くの魚が群をなして泳いでおり、盛んにライズしていました(写真3)。その中の魚を子どもがつり上げて、その魚を見てびっくり(写真4、5)。アブラビレが付いているではありませんか(写真6、7)。
 瞬間に、水産庁の事業成績書の中身を思い出しました。これはベニザケなのです。試験事業として、この水系に放流されているのです。昔、テレビの番組でも親魚(しんぎょ)の遡上を見たことも思い出しました。
 ベニザケはサクラマス以上に贅沢な魚で、湖を有する川の中で遊んでから降海します。おそらくウトナイ湖の中でも遊んでいるのでしょう。道内では、3水系に試験放流されています。サクラマスも川の中での生活期間が長いために支流及び本流の河川環境の保全の必要性が叫ばれていますが、ベニザケの場合は湖が必要らしいので、これもまた、自然環境の保全の必要性があると思われます。
 それにしても自然の中では初めて見た魚でした。
 つり上げた魚をどうしたかって?
もちろんリリースしましたよ。ちゃんと生きて川の中に戻っていきました。子どもがせがみましたが、二度と針を川の中には入れさせませんでした。
 この魚は大きくなって川に帰ってくるんだよと言い聞かせて。
 水産庁の方がもしこのページをご覧になっていたら、決して故意につり上げたわけではありませんのでご容赦下さい。
だって、ウグイしか釣れたことなかったものですし、これまで現物を見たこともなかったものですから・・・。
写真2
写真3:
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(2002/09/29)
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